2016年09月11日

〔政治家のレイシズム利用〕ケース1 和田政宗 参議院議員 第3回

 前回までは参議院議員の和田政宗氏が2013年の選挙のときに岡崎トミ子氏へのネガティブキャンペーンに使用したPVが女性差別でありレイシズムであることを見てきました。
(第1回記事はhttp://antiracism-info.sblo.jp/article/176389221.html
(第2回記事はhttp://antiracism-info.sblo.jp/article/176740526.html

 しかし、和田氏が「慰安婦」問題を選挙に使ったのは偶然ではありません。これまでにも岡崎氏を攻撃する材料として「慰安婦」問題を使いレイシズムを煽動し続けた極右政治家がいました。

 また、このような「慰安婦」問題を利用し、レイシズムを煽動することが政治家とって人気を集める手段になっており、岡崎氏への攻撃もその一環であると言えます。

 今回は岡崎氏を攻撃してきた政治家の発言を取り上げ、その問題点を確認し、その後に前回ブログの補足として「慰安婦」制度そのものがレイシズムであることを見ていきます。


◯極右議員による岡崎氏への攻撃

 和田氏が2013年の選挙で岡崎氏を攻撃するより前に、極右政治家が国会で岡崎氏が水曜デモに参加したことを「反日」だとして攻撃することが繰り返されてきました。

・稲田朋美氏の攻撃

 岡崎氏への攻撃をしてきた議員の一人に衆議院議員の稲田朋美氏がいます。稲田氏は岡崎氏が菅第1次改造内閣により国家公安委員長に任命された2013年10月6日の国会本会議における代表質問において岡崎氏の水曜デモへの参加を攻撃しました。

さて、国内の安全を内閣でつかさどるのは国家公安委員長です。そして、任命権者は、総理、あなたです。
今回、その国民の安全を守るポストに、韓国で、いわゆる従軍慰安婦問題で日本の政府を糾弾するために、ソウルの日本大使館に向けて反日デモをし、我が国の国旗をおとしめた岡崎氏を任命されました。信じられない愚挙です。
総理にお伺いします。総理は、岡崎氏の愚かな反日行為をどのように理解されていますか。今回、なぜ岡崎氏を我が国の治安の最高責任者に任命したのですか。不適格者を任命した責任についてどのように考えておられますか。
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/000117620101006002.htm


 またその後、同年10月22日の第176回国会・法務委員会でも同じように水曜デモに参加した岡崎氏を執拗に攻撃しています。

まず、代表質問でも私は菅総理にお伺いをいたしました二〇〇三年の大臣の反日デモのことについてでありますけれども、これに対して、菅総理の答弁は、「本人も、過去の言動に配慮に欠けた面があり、誤解を招いたことについて深く反省し、以後注意しており、内閣の方針に従って職務に邁進していくという旨を表明されております。」このように答弁をされたわけでありますけれども、この二〇〇三年のデモはいかなるデモで、また、大臣はどのような趣旨で参加をされたのか。具体的な事実についてお伺いをいたします。
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/000417620101022002.htm


・西田昌司氏の攻撃

 稲田氏以外にも岡崎氏を攻撃した議員として参議院議員の西田昌司氏がいます。西田氏は2010年10月28日の第176回国会・内閣委員会において稲田氏と同様に岡崎氏が2003年に水曜デモに参加したことを攻撃しています。

○西田昌司君 それで、今日は、元々質問通告されている部分に移ります。
 それは、私が先日の十月十四日の予算委員会でも質問しました。それは、岡崎トミ子国家公安委員長の過去のいわゆる反日デモに参加された問題なんです。(略)御存じのように、岡崎大臣が、この反日の文字が並べられている、そして日の丸にバッテンが付いている、こんなところでデモに参加されている。これは今見ましても、私は日本人として恥ずかしいです。恥ずかしいです。とんでもない話なんです。それを今、国会議員であるだけではなくて、国家の大臣、国務大臣、しかも国家公安委員長という国民の治安を守る、国民の生命、財産、これを守っていく一番所管大臣が日本の国益に反することをしているんじゃないのかと、まさにそのことについての私は問題意識を持って大臣にお聞きしているわけなんです。
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/176/0058/17610280058003a.html 


 この国会質疑の中で西田氏は岡崎氏が参加したデモが「反日」デモであり、岡崎氏が議員立法として提出してきた元「慰安婦」への補償を求める法案を「売国」だとして執拗に攻撃しています。


◯「上からの差別煽動」と集票構造

 元「慰安婦」のサバイバーの女性に連帯し、デモに参加した岡崎氏を「反日」だとして攻撃することが女性差別やレイシズムを煽動するということは前回のブログで確認しました。

 上に挙げたような稲田氏や西田氏の岡崎氏への攻撃のロジックは前回のブログで見た和田氏のPVと全くもって同じものです。

 稲田氏や西田氏の岡崎氏への攻撃はテレビや雑誌のようなメディアでも取りあげられ拡散されました。
・『ビートたけしのTVタックル』2010年12月13日放送 http://dametv.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/post-6f62.html
・『正論』2010年11月号 http://seiron-sankei.com/645


 このような女性差別とレイシズムを煽動する内容のニュースが様々な媒体で繰り返されたのです。そしてそれら卑劣な差別煽動はマスコミや政治家そして知識人の批判を浴びることなく放置されました。

 このような極右政治家の岡崎氏への攻撃を和田氏が知らぬはずがありません。おそらくそれらを模倣し、選挙におけるネガティブキャンペーンに利用したのではないかと考えます(たとえ和田氏がこれらの攻撃を知らなかったとしても、稲田や西田らの差別煽動が大きな批判を呼ばず、結局放置されたことが和田氏の差別煽動を許したことは間違いないでしょう)。

 日本軍「慰安婦」問題は戦後日本社会ではほとんど重要な問題として扱われてきませんでした。90年代以降、良心的な人々によって社会運動がはじめられ、戦後補償問題として扱われてきました。その中で被害者による裁判闘争や「女性国際戦犯法廷」のような取り組みの中で事実の解明や被害者の権利保障、責任の追及、歴史教育などが市民運動を中心に行われました。

 しかし、その一方1990年代後半からはそれらの取り組みへのバックラッシュとして「新しい歴史教科書をつくる会」といった教科書における「慰安婦」記述の取り消しを目指す運動や「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」などの議員連盟が組織され、元「慰安婦」被害者への攻撃が強くなってきました。これらの極右議員と活動家の取り組みによって歴史教科書の中の「慰安婦」の記述が2006年には完全になくなりました。また、1995年に開始された「女性のためのアジア平和国民基金」の取り組みも「慰安婦」の被害に対する国の法的責任を認めず、あくまでも「見舞金」という不完全な形で2007年に終了し、元「慰安婦」被害者への権利保障は未だになされないままになっています。

 これらの日本国内において日本軍「慰安婦」問題を否定する動きは「歴史否定/修正主義」(以下、「歴史否定」)だということができます。

 「歴史否定」とはナチスによるユダヤ人虐殺(ホロコースト)など、近代国家による奴隷制・植民地支配・侵略戦争・ジェノサイドなどの、特に深刻な人権侵害を伴った歴史を否定・歪曲・美化する行為・思想のことを指します。政治家によるある種の「歴史否定」を含むレイシズムが市民社会において差別を強力に煽動することが知られています(このことはARICの政治家レイシズムデータベースでも言及しています http://antiracism-info.com/database_home )。

 日本の場合、戦後ドイツが行ってきた「過去の克服」*1と呼ばれるような取り組みに代表される「反歴史否定」の規範が全くと言っていいほどありません。そのため「歴史否定」は政治空間と市民社会を何の制約もなく横断することが許されています。

 今回の和田氏のPVや稲田氏の岡崎氏への攻撃もただのレイシズムではなく、「歴史否定」を含むレイシズムだということができます。「歴史否定」が厄介なのは前述の通り、日本にはそれに対する批判がほとんどなく、政治空間と市民社会を自由に横断できる点です。今後、和田氏のような極右議員が政治空間と市民社会を自由に横断できる「歴史否定」を活用するという回路を通じて、レイシズムを煽動するだけでなく、選挙における集票に利用していくことが考えられます。

 和田氏の事例はその端緒でしょう。

 よって今後の反レイシズム運動において「上からの差別煽動」に対抗していくためには、反レイシズムの規範を作っていく中で、これらの「歴史否定」にも対抗していく必要があると言えます。


◯「慰安婦」制度とレイシズム

 次に、前回少し触れた「慰安婦」制度自体とレイシズムの問題を取り上げたいと思います。(詳述できませんので簡単に解説します。)

・日本軍「慰安婦」制度とは

 そもそも日本軍「慰安婦」制度とはどのようなものだったのでしょうか。

 「慰安婦」とは、1932年の第1時上海事変から1945年の日本の敗戦までの期間に、戦地・占領地で日本陸海軍が作った慰安所で軍人・軍属の性の相手をさせられた女性たちであり、その総数は3〜20万人と推計されています。慰安所には@軍が直営するものA業者に経営させる軍専用のものB民間の遊郭を軍が一時的に指定して利用するものの3種類があったとされ慰安所の設置・維持を遂行した主体は国家の組織である日本軍でした。*2

 「慰安婦」問題には@軍の関与A広域にわたる被害B被害者が置かれていた実態C国際法違反・戦後における訴追など多くの論点があります。しかし、全て取り上げることはできないので今回は「慰安婦の徴集」に焦点を当て、「慰安婦」制度とレイシズムの関係について触れたいと思います。

・徴集された割合

 前回見たように「慰安婦」として性暴力の被害にあった女性は日本も含めアジア全域に及びます。一方、その被害者は日本人以外のアジアの女性(特に朝鮮植民地出身者)が多くいたことは否定できません。このことは日本軍の調査で兵士が性病にかかった「相手女」としてあげられている数字から推計されます。
朝鮮人51.8% 中国人36.0% 日本人12.2%
(国籍不明・不詳を覗く。計算方法は、吉見義明・林博史編『共同研究 日本軍慰安婦』大月書店・1995年より)
 

・徴集方法

 「慰安婦」は様々な形で集められました。その方法には第1に日本、朝鮮、台湾での徴集、第2に派遣軍が占領地で慰安婦にする女性を集める方がありました。しかし同じ第1の徴集方法でも、日本人は婦人・児童の売買を禁止した国際条約に則り21歳以上で売春経験のある女性を徴集した一方、当時日本の植民地だった朝鮮、台湾にはこの条約は適用されず、朝鮮、台湾の女性の多くは甘言や身売り、暴力的な連行、総督府による「官斡旋」などによって軍の選定した業者を通して「慰安婦」にされました。また、第2の集め方では占領地において地元の業者や村の有力者・収容所からの徴発・暴力的な連行という形で徴集されました。*3

 このように「慰安婦」制度は植民地宗主国と植民地・占領地という、日本人かそうでないかによって女性が不平等に扱われて当然とされる関係(つまりレイシズム)を利用して「慰安婦」の徴集を行っていました。

 「慰安婦」問題のレイシズムに関する点について先にもあげた吉見義明氏は「慰安婦」問題の本質について女性差別や経済的階層差別、国際法違反行為であったことと同時に以下のように述べています。

 第二に、人種差別・民族差別であった。例外があったとはいえ、日本人慰安婦はおおむね青年の売春婦にかぎられていたのに対し、他のアジア人の慰安婦(植民地・占領地の女性)の大多数は未成年者であるか、青年であっても売春婦ではなかった。この背景として、日本の男性社会にアジア人女性に対する性的蔑視意識が広くあったことを見逃すわけにいかない。(略)また、抑留所に収容されたオランダ人女性が強制的に慰安婦にされたという事実も、日本人女性の場合には起こり得ないという意味で、明白な差別だった。 
(吉見義明『従軍慰安婦』岩波新書、231-232頁)


 以上のように「慰安婦」制度自体が「レイシズム」を内包するものであったことがわかります。

 また2014年に人種差別撤廃委員会が日本政府に出した最終見解においても「慰安婦」問題が取り上げられています。

18.委員会は,第二次世界大戦中に日本軍によって性的に搾取された外国人「慰安婦」の問題を解決するために、締約国が行った取組に関し、締約国代表団から提供された情報に留意する。委員会はまた、1995年に締約国によって設置されたアジア女性基金を通して提供された補償及び2001年の日本の首相による謝罪を含む政府の謝罪表明に関する情報にも留意する。生存している「慰安婦」に対する人権侵害が、彼女たちの正義と補償に対する権利が十分に実現しない限りは継続することに留意して、委員会は、「慰安婦」のほとんどが、認知、謝罪またはいかなる種類の補償も受け取っていないとの報告に懸念する(第2条及び第5条)。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000060749.pdf


 前回も述べた通り日本軍「慰安婦」制度自体がアジア太平洋地域の女性に対する人権侵害の問題であり、それはレイシズムによって支えられていたと言えるでしょう。

 今回までは和田氏が2013年の選挙において岡崎氏を攻撃したことを中心に見てきました。

 次回は、今回取り上げた「歴史否定」と「レイシズム」の関係について考えたいと思います。

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*1 「@ナチ不法の被害者に対する補償、Aナチ体制下の犯罪に対する司法訴追、Bネオナチの規制、C現代史重視の歴史教育など政策・制度面での実践と、これらを支える精神的、文化的活動の総体」のことを指す。(石田勇治『過去の克服』白水社、2002年、7頁)

*2 吉見義明『日本軍「慰安婦」制度とは何か』岩波ブックレット、2010年、7頁参照

*3 この点について詳しくは、吉見義明『従軍慰安婦』岩波新書、19995年、V章を参照


posted by 反レイシズム情報センター(ARIC) at 14:28| Comment(0) | 政治家のレイシズム利用

2016年09月04日

〔政治家のレイシズム利用〕ケース1 和田政宗 参議院議員 第2回

 ARICのブログ記事「政治家の差別煽動」第2回では、2013年の参院選で初めて国会議員に当選した和田政宗氏が、選挙戦の決定打として利用した、岡崎トミ子氏へのネガティブキャンペーンPV( https://www.youtube.com/watch?v=tzeUWW7rVhk )をとりあげます。
(第1回記事はこちらhttp://antiracism-info.sblo.jp/article/176389221.html)。

 この岡崎氏に対するネガティブキャンペーンに使われた動画において、和田氏は韓国の元「慰安婦」のサバイバーが日本政府に賠償を求めること、そしてそれを支援する岡崎氏を「反日」だとして批判しています。

 和田氏の動画はただのネガティブキャンペーンではありません。結論から言うと、第一に女性差別を、第二にレイシズムを助長し煽動する効果を持つと言えます。以下、なぜそう言えるのかについて、二つの論点に分けて和田氏の動画の意味を考えます。


◯「女性差別」

 第一に「女性差別」の点について、和田氏の動画の問題を見ていきましょう。

・女性差別とは

 まず女性差別とは何かについて確認します。

 日本も批准している女性差別撤廃条約において女性差別は以下のように定義されています。

第1条
この条約の適用上,「女子に対する差別」とは,性に基づく区別,排除又は制限であつて,政治的,経済的,社会的,文化的,市民的その他のいかなる分野においても,女子(婚姻をしているかいないかを問わない。)が男女の平等を基礎として人権及び基本的自由を認識し,享有し又は行使することを害し又は無効にする効果又は目的を有するものをいう。

 人種差別の場合は簡単に言って、@(人種や民族という)ある特定の出自を持つグループへのA不平等がその定義でした。女性差別も(女性という)性に基づいて、合理的な理由なく、(男性との平等な)権利を侵害されることを女性差別と定義しています。

・和田氏の差別PVの内容

 では、和田氏のPVの内容はどのようなものでしょうか。(https://www.youtube.com/watch?v=tzeUWW7rVhk

 動画は和田氏のYoutubeチャンネル「政宗ちゃんねる」にアップされたもので30秒の短編です。BGM以外に音声はなく、言語によるメッセージは次のような字幕があるのみです。

「あなたは知っていますか?
 反日デモに参加した宮城の政治家がいることを_
〔韓国ソウルで行われた水曜デモ(後述)時に撮影された、×印の描かれた日章旗と岡崎トミ子氏が一緒に収められている写真の画像を映した後〕
 参院選 宮城選挙区 民主党 岡崎トミ子氏(69)
〔上記のものと同様の、別の写真の画像を背景に〕
 あなたの一票を託せますか?」


・和田氏PVは女性差別煽動のヘイトスピーチ

 さて、このPVはこれだけですでに女性差別になります。なぜでしょうか。

 それは和田氏がPVで「反日デモ」だとバッシングしているデモ(水曜デモ)が、女性差別への抗議行動であり、特に性暴力のサバイバー(生存者)の当事者が立ち上がっている抗議行動だからです(性暴力という性に基づいて女性が受けた不平等の、処罰・賠償を求めて訴えるという権利行使を「害し又は無効にする効果又は目的を有する」ものであることは明らか)。そして岡崎トミ子氏が女性であり、かつ女性差別に抗議するデモに連帯したことをバッシングの対象にしているからです。

 この理由だけですでに、上のPVは120%女性差別であり女性差別煽動のヘイトスピーチだと言えます。

 特に深刻なのは、上のPVが性暴力被害者に対して「訴え出るな」「賠償を求めるな」「黙っていろ」と言っていることと同じ効果を持つことです。そして和田氏のPVのように、被害者の訴えを否定し、性暴力を処罰しないことを是とすることは、社会に“女性に対する暴力”は処罰される必要はないというメッセージを送り、性暴力を社会的に助長・煽動することにつながると言えます。

 そして和田氏はこのような卑劣な女性差別煽動PVを、なんと自分が国会議員に当選するために、強敵である女性のライバルを追い落とすために、利用したのでした。彼が元NHKアナウンサーとしての知名度を利用して、しかも国会議員選挙という場を利用して、さらにはインターネットの拡散力を通じてPVを拡散させたことによる女性への特に性暴力被害者への差別と差別煽動効果は計り知れないものがあると言えるでしょう。そして恐ろしいことにこれについての批判は、マスコミからも他の政治家からも、未だにほとんど出てきていない状況です。

・水曜デモと岡崎トミ子氏の取り組みについて

 ここで説明を留保してきた、和田氏が「反日デモ」として攻撃している水曜デモについて簡単に説明します。水曜デモは、性暴力は性暴力でも、日本軍「慰安婦」制度(旧日本軍性奴隷制)の被害についての権利回復を求めて行われています。元「慰安婦」を支援する韓国挺身隊問題対策協議会が主催し1992年の1月からほぼ毎週、韓国ソウルの日本大使館前で行われています。この中で元「慰安婦」サバイバーは「慰安婦」問題の解決を主張し、日本に対し国会決議を通じた謝罪、法的賠償などを要求しています。

 岡崎氏はこれまで元「慰安婦」の被害賠償を求める法律の議員立法を行うなど精力的に元「慰安婦」の被害者に対する尊厳・名誉の回復、被害の賠償の活動をしてきました。岡崎氏が韓国のデモに参加したことは元「慰安婦」の被害者と一緒に、同じ女性として、被害者の権利回復を求める活動の一環だと言えます。*1

・和田氏のPVは日本軍「慰安婦」被害者へのヘイトスピーチ

 和田氏の動画は、女性へのヘイトスピーチであると同時に、日本軍「慰安婦」被害者へのヘイトスピーチでした。

 確かに動画の中で和田氏は「慰安婦」問題について、他の国会議員の発言(安倍首相の「狭義の強制性はなかった」など)のように明確に「慰安婦」問題の内容に直接踏み込んだ主張をしているわけでもなく、「岡崎氏が反日デモに参加した」とだけ表現おり、言葉尻だけを見ると明確に元「慰安婦」のサバイバーを攻撃しているようには見えません。おそらく本人も「事実を提示しただけだ」と言い逃れることができるように見えます。

 しかし、和田氏の動画は総体として元「慰安婦」の被害者が訴え出ることを否定する“効果”を持つことは前述の通りです。またその取り組みに連帯する岡崎氏(特に女性)をもネガティブキャンペーンによって攻撃していると言えます。

 以上、和田氏の動画があらゆる女性差別の煽動であることがはっきりしました。

・「慰安婦」制度と女性差別

 そもそも「慰安婦」制度自体が“多重的な”女性差別の問題だと言えます(詳述できませんが少しだけ解説します)。

 先述した女性差別撤廃条約によって設置されている女性差別撤廃委員会の日本政府第6回報告に対する同委員会最終見解(平成21年8月)においても
38. 委員会は、締約国が「慰安婦」の状況の恒久的な解決のための方策を見出す努力を早急に行うことへの勧告を改めて表明する。この取組には、被害者への補償、加害者の訴追、及びこれらの犯罪に関する一般国民に対する教育が含まれる。

http://www.gender.go.jp/international/int_kaigi/int_teppai/pdf/CEDAW6_co_j.pdf
と勧告しており「慰安婦」制度が普遍的な性暴力・女性差別の問題だと言えます。

 また同時に「慰安婦」制度は、旧ユーゴ内戦などでクローズアップされ、いまも世界各地の戦争下で頻発する戦争犯罪である「戦時性暴力」という問題も含んでいます。このことは「慰安婦」問題について国際的に最初の報告書が当時起きていたユーゴスラビア内戦での性暴力などを念頭におき、1996年にラディカ・クマラスワミ氏(当時の国連の女性に対する暴力特別報告者)によって国連人権委員会に提出されたことや、98年にゲイ・マグドゥーガル氏によって国連人権小委員会に出された「武力紛争下の組織的強姦、性奴隷制および奴隷制類似慣行に関する最終報告書」において「慰安婦」制度を性奴隷制度であると言及していることからも明らかです。

 以上、「慰安婦」制度における女性差別は❶性暴力一般❷戦時性暴力❸日本軍性奴隷制という3つの次元を含むことがわかります。

20160904.png

 和田氏のPVはその全ての次元の女性差別煽動を含むものです。

 和田氏のように政治家が「慰安婦」問題を政争の具として利用し、差別を煽動することは何よりも「慰安婦」問題の❷❸の次元で「慰安婦」制度の直接の被害者であるサバイバーに対するセカンドレイプ(性暴力の被害者が、被害を公にすることで、周囲の誤解や好奇により二次的に精神的苦痛や不利益を被ること)という人権侵害であるという域に収まらず、❶の次元である性暴力一般の被害者に対しても被害を訴え出ることを躊躇わせる効果を与えるものであり深刻な問題です。


◯レイシズム

 続いて第二のレイシズムの点について見ていきましょう。

・普遍的な人権問題としての「慰安婦」問題

 多くの「慰安婦」に関する研究でも述べられているように、そもそも元「慰安婦」として戦時性暴力の被害を受けた女性は韓国の被害者だけではなく、日本による朝鮮植民地支配下および日本が侵略したアジア諸国、また日本の公娼制の下にあった女性など多方面にわたります。これは「慰安婦」問題が(日本が主体となって行った)アジア太平洋地域の女性に対する人権侵害の問題であったということです(このことは国連の自由権規約委員会が2008年と2014年と連続して、日本の委員会への報告に対して「慰安婦」問題解決の勧告が行われていることからも明らかです)。

 国連の自由権規約委員会という国連の中でも人権について特に権威がある委員会で「慰安婦」問題がとりあげられていることは、国際社会において「慰安婦」問題が普遍的な人権侵害の問題として提起されていることを示すものです。

 しかし日本では、日本軍「慰安婦」問題が日本人被害者も含めたアジアでの女性への人権侵害問題としてではなく、日韓問題として議論されがちです(様々な理由や背景がありますが説明は省きます)。ここで重要なのは、日本軍「慰安婦」問題が日韓問題に矮小化されることそれ自体に、ある種のレイシズムが作用している、という点です。そして、和田氏の動画も例にもれません。

・「韓国=反日」、「反日=韓国」というレイシズム

 和田氏の動画では岡崎氏への攻撃の材料として岡崎氏が2003年に水曜デモにおいて元「慰安婦」の被害者が日本政府に対して法的責任を認め、法的賠償を求める行動に参加したことが「反日」であるという印象操作を行っています。

 ここには、“韓国=反日民族/国家”というレイシズムが、大きな役割を果たしています。つまり“韓国=反日”だから韓国人の対日要求には耳を貸さなくてよい、そのような論理で普遍的な人権回復要求を「人種化」し、歪曲する力が働いています(例えばそれは民族的ウラミだ!タカリだ!とする偏見)。これが@朝鮮という民族的グループへのA不平等に根差したレイシズムであることは言うまでもありません。
和田氏の動画はこの「韓国=反日」というレイシズムを煽動しています。

 それだけではありません。この動画は先ほど見たようなアジア全域に及ぶ元「慰安婦」の被害者を、ステレオタイプ化させた「韓国人」に代表させることで、アジア全域に及ぶ人権侵害の問題を日韓関係に矮小化する日本社会のレイシズム/歴史否定潮流に、乗じたものであり、それに掉さすものと言えます。

 要するに、この動画は「韓国=反日」というレイシズムだけでなく、それを活用した、日本軍「慰安婦」問題じたいの日韓問題への矮小化と「人種化」(「韓国人が騒ぐもの」なる)を招くという意味でのレイシズムもまた、助長・煽動していると言えます。

 「韓国=反日」として元「慰安婦」被害者を攻撃することは具体的には彼女らが自らの被害を法的に罰し、補償を求める行為を萎縮させ妨げると言えるでしょう。このような攻撃が二重三重の意味で人種差別撤廃条約の言う「人権と基本的自由の平等な立場における承認、享受又は行使を、妨げたり害したりする目的や効果を持つ」ことは明らかです。

・「慰安婦」制度とレイシズム

 これまで見てきたように和田氏の動画がレイシズムであることを見てきました。それと同時に「慰安婦」制度自体がレイシズムを元に構築されていたものと言えます。これについては次回のブログで詳しく説明するので今回は指摘しておくだけに留めます。


◯レイシズムと女性差別の関係

 これまで見てきたレイシズムと女性差別は無関係ではありません。2000年に出された人種差別撤廃委員会の一般的勧告25「人種差別のジェンダーにおける側面」ではレイシズムと女性差別の関係について述べられています。その中では「人種差別が、女性にのみに、もしくは主として女性に影響を及ぼし、または男性とは異なる態様で、もしくは異なる程度で女性に影響を及ぼすという状況が存在する」と指摘しており、具体例の一つとして「拘禁中または武力紛争中に特定の人種的または種族的集団に属する女性に対して性的暴力が行われる場合」をあげています。

 このように「慰安婦」問題自体がレイシズムと女性差別が不可分に結びついて発生した複合的な人権侵害であり、「慰安婦」問題とその権利回復を目指す政治家を否定する和田氏の動画の歴史否定は二重三重の意味で強い差別煽動効果を持つレイシズムであるといえます。
  

◯「保守層」への支持拡大と歴史否定

 以上において和田氏の動画がレイシズム・歴史否定を煽動するヘイトスピーチであったことを見てきました。それでは和田氏はこの動画における差別煽動効果を選挙においてどのように利用したのでしょうか?

・ネット上の落選運動

 これに関して産経新聞が詳しく報道しています。

 和田氏は選挙期間中、岡崎氏が平成15年2月にソウルの日本大使館前で行われた元慰安婦支援団体主催の反日デモに参加したときの画像を載せた。
 和田陣営は「事実を載せただけ」としているが、これにネットユーザーが反応した。
 「愛知候補の票はもう十分。これ以上は死に票です。2議席目は和田政宗に投票を! 岡崎トミ子を落選させましょう」
 選挙戦中盤に入ると、このような一般ユーザーによるツイッターへの書き込みが急増。ネット選挙解禁で認められた「落選運動」に火が付いた。結局、22万票以上を獲得し、約5千票差で岡崎氏を抜き去った。

2013年7月23日( http://www.sankei.com/politics/news/130723/plt1307230044-n3.html

 和田氏陣営は事実を乗せただけだとしてネットでの落選運動との関連を否定していますが、和田氏の動画は明らかに岡崎氏への批判に差別煽動を利用していると言えます。

・「保守層」への支持の浸透

 和田氏の動画は同時にネットユーザーだけではなく宮城県内における「保守層」の票を動かすことにもつながりました。

 このことについては先ほどの2013年7月24日の河北新報の記事においても詳しく報じられています。(和田氏について)「長年、岡崎と対決してきた保守勢力もあうんの呼吸で後押しした」「自民党現職の愛知治郎(44)を応援するはずの同党仙台市連幹部は終盤、「岡崎を落とす絶好のチャンス。支持者には冗談めかして『愛知は大丈夫。岡崎を落とすために和田に入れようという人もいる』と話している」と、暗に和田支援を呼びかけたことを明かした」と書かれています。他の記事でも実際に「和田氏保守層に食い込む」と報じられており(河北新報 2013年7月23日 朝刊)、和田氏の「歴史否定」が多くの票を集めることにつながったことがわかります。

・和田氏と歴史否定

 もともと和田氏はNHK仙台局のアナウンサーとして夕方の情報番組のメインキャスターを務めていたこともあり一定の知名度がありました。また、2013年の参議院選挙に第三極として出てきたみんなの党の候補として「既得権益打破」を訴えることで支持を伸ばしていました。

 しかし、それだけでは和田氏本人も述べているように選挙で勝てなかったでしょう。これまで見てきたように和田氏は歴史否定をネット上に展開し差別煽動を行い、いわゆる「保守層」の票を集めることを通じて選挙に勝つことができたと言えます。

 和田氏は現在もネットにおける政治活動に力を入れており、以下の媒体で発信を続けています。

オフシャルサイト:http://www.wadamasamune.com/
Twitter:https://twitter.com/wadamasamun / @wadamasamune
Facebook:https://www.facebook.com/参議院議員-和田政宗-501441126558333/
ブログ:http://ameblo.jp/wada-masamune/
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UC4xBAP8wKqllDY902jzMEGQ


・歴史否定と「慰安婦」問題

 今回詳しく見てきたように和田氏の動画自体がレイシズムであった言えます。そして選挙において歴史否定を利用して和田氏が支持を集め、票を伸ばしたのは明らかです。

 しかし、一方で「慰安婦」問題を使い岡崎氏を攻撃したのは和田氏がはじめてではありません。これまでも極右議員によって行われてきた攻撃を和田氏が模倣したにすぎません。

 次回では具体的に「慰安婦」制度とレイシズムの関係を取り上げながら、「慰安婦」問題を使い国会で岡崎氏を攻撃した西田昌司氏と稲田朋美氏の発言の問題性を検討したいと思います。


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注1 岡崎氏が水曜デモに参加した理由に関しては次の答弁を参照してください。岡崎氏が国家公安委員会委員長であった2010年10月28日の176回内閣委員会において、自民党の西田昌司参議委員議員から次のような質問をうけています。
○国務大臣(岡崎トミ子君) お答えいたします。
 私は慰安婦問題に取り組んでまいりました。その取組を戦争の被害者となったおばあさんたちに報告をし、また戦争の被害者のおばあさんたちの声を聞きに行きました。
(略)
そして、その報告のほかに、過去に率直に向き合うこと、またおばあさんたちの尊厳の回復、名誉の回復について訴えたと思います。

http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/176/0058/17610280058003a.html
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2016年08月07日

〔政治家のレイシズム利用〕ケース1 和田政宗 参議院議員 第1回

 今回から、政治家レイシズムについて新連載を始めます。

 今回ブログで取り上げるのは東北地方における政治家の差別煽動の実態です。現在、ARICでは「政治家レイシズムデータベース」を随時更新中です。現在まで1035件の政治家によるレイシズムを確認しています。( http://antiracism-info.com/database_home

 ARICの「政治家レイシズムデータベース」においては以下の調査基準をもとに政治家のレイシズムを集めています。

「レイシズム」とは:基本的には人種差別撤廃条約第一条の「人種差別racial discrimination」の定義に該当する疑いのある「政治家」の発言/行為のこと。ただし以下のものを「レイシズム」に含めるものとする。
1)人種差別撤廃条約第四条で法規制が義務付けられているヘイトスピーチ(差別/レイシズム煽動)
2)上記1)の効果を持つ歴史否定/修正主義
3)「政治家」個々人の「レイシズム」を時系列的・継続的に監視する上で関連する同条約第一条「人種差別」以外の一般的な差別


 なお、人種差別撤廃条約第一条による「人種差別」の定義とは以下のようなものです。

1.この条約で、「人種差別」とは、政治的、経済的、社会的、文化的その他あらゆる公的生活の領域で、人権と基本的自由の平等な立場における承認、享受又は行使を、妨げたり害したりする目的や効果を持つ、人種、皮膚の色、世系や民族的出身に基づくあらゆる区別、排除、制限や優先を意味する。



◯政治家による差別煽動の禁止

 調査基準の一つである人種差別撤廃条約では第4条(c)の項目において政治家がレイシズムを煽動することを禁止しています。

第4条
 締約国は、@人種的優越や、皮膚の色や民族的出身(ethnic origin)を同じくする人々の集団の優越を説く思想・理論に基づいていたり、Aいかなる形態であれ、人種的憎悪・差別を正当化したり助長しようとする、あらゆる宣伝や団体を非難し、また、このような差別のありとあらゆる煽動・行為の根絶を目的とする迅速で積極的な措置をとることを約束する。このため、締約国は、世界人権宣言で具体化された原則と本条約第5条が明記する権利に留保し、次のことを行う。
(c)国や地方の公の当局・機関が人種差別を助長し又は扇動することを許さない


 人種差別撤廃条約に照らして考えると政治家はそもそも差別煽動してはならず、むしろ自分がレイシストではないことを積極的に表明する必要があると言えます。

 人種差別撤廃条約でこのように政治家のレイシズムを禁止しているのはなぜでしょうか?

 それは「一般的に国や行政が行う差別や政治家はじめとした公人によるレイシズムは、市民によるヘイトスピーチよりはるかに強力に、市民社会のレイシズムに正当性を与え、差別煽動効果を発揮する」からです。

 具体的には2013年に発表された人種差別撤廃委員会による一般的勧告35「ヘイトスピーチと闘う」においても、「当局又は機関から発せられる人種主義的表現、特に上級の公人によるものとされる発言を、委員会は特に懸念すべきものと判断する」(同パラグラフ22)としており、「当局又は機関」「特に上級の公人」による差別煽動に注意喚起を促しています。


◯政治家が差別煽動を行うことによって得られる利益

 政治家による差別煽動が深刻な問題である一方、政治家の側からすると差別煽動をすることは自らの利益になるといえます。

 アルベール・メンミは『人種差別』(法政大学出版、1996年)という著作の中で、レイシズムを「ある差異の、自分の利益のため利用」(4頁)と定義しています。

 差別煽動を行う政治家の立場からするとヘイトスピーチや「歴史否定/修正主義」(以下、「歴史否定」)という形で差異を利用することによって愛国的な「保守層」に訴えかけ自分の支持を集めることができるなどといった、具体的な利益を得ることができます。

 これらの差別煽動を規制する規範が社会的に存在しなければ政治家は自らの利益のために差異を利用し差別煽動を続けるでしょう。

 その意味でも現に政治家がレイシズムという差異を「どのような回路で利用しているのか」を突き止め、これらの「差異の利用」を不可能にし、その回路を断ち切ることが反レイシズム規範を作っていく上で実践上重要になります。

 現在、日本では政治家のレイシズムが野放しにされています。その中で、レイシズムを自らの利益のために利用する政治家が実際に現れはじめています。その具体的な例を数回にわたり紹介していきます。

 最初に紹介するのは宮城選挙区選出の和田政宗参議院議員です。


ケースT 和田政宗 参議院議員

 和田政宗氏は1974年生まれの41歳。慶応大学卒業後、NHKに入社し、アナウンサーとして働き始めます。大阪局勤務を経て2009年から2013年まで仙台局に勤務します。仙台局では、夕方のニュース番組のメインキャスターなどを務めるなど、宮城県内で一定の知名度を有していました。その知名度を生かし、2013年の参議院選挙宮城選挙区にてみんなの党から出馬。初当選を果たしました。その後、党の再編に際して次世代の党に所属、現在は日本のこころを大切にする党の政調会長を務めています(詳しくはHP http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/giin/profile/7013064.htm

 和田氏は当時解禁された「ネット選挙」を用いて「レイシズム」を利用し、票を集め、国会議員になった実例です。以下において和田氏がいかにして「レイシズム」を利用したのかを見ていきます。


◯ネット選挙の利用

 和田氏は2013年にみんなの党から出馬し当選しましたが、この時に宮城選挙区で激しく争ったのが民主党(当時)の岡崎トミ子氏です。実際、和田氏は岡崎氏に約5000票差という僅差で勝利しており、接戦だったことがわかります。

当 421,634 愛知治郎  自現(3)
当 220,207 和田政宗  み新(1)
  215,105 岡崎トミ子 民現
   76,515 岩渕彩子  共新
    9,662 皀智子   諸新
http://go2senkyo.com/sangiin/27/prefecture/4 )


 この選挙戦の中で和田氏は、当時解禁されたばかりの「ネット選挙」をフル活用しました。和田氏自身、地元紙である河北新報の記事の中で「ネットがなければ引っくり返せなかった。」と語っています。(2013年7月24日 朝刊)
20160807wada.png
  
 新聞記事のほか、ユーチューバーのKAZUYA氏が投稿した動画においても和田氏はネット選挙について触れています。

【トミ子を打ち破った男 和田政宗に会ってきた】 https://www.youtube.com/watch?v=q9yjIPq0Va8


 この動画においても「選挙の勝因」について聞かれた和田氏は、「ネット選挙」であったと答えています。(動画1:53〜2:30ごろ)


◯ネット選挙における「レイシズム」

 和田氏が「なければ勝てなかった」と語るネット選挙ですが、その内容はどのようなものだったのでしょうか?

 これについても河北新報が詳しく報じています。

2013参院選/宮城選挙区/みんな・和田さん、2番手狙い逆転/ネット戦術が奏功
ネット選挙の申し子が金星を挙げた。2議席目に滑り込んだみんなの党新人の和田政宗さん(38)の陣営はインターネットをフル活用。団体の支援を受けず、物量に劣るハンディを克服した。
 公示日の4日朝、奇襲を仕掛けた。民主党現職の岡崎トミ子さん(69)が2003年の訪韓時、元従軍慰安婦による日本政府への謝罪要請の場にいたのを「反日デモ参加」と指摘する動画を公開。先行する自民党には目もくれず、2議席目に照準を絞り逆転を狙った。
2013年7月22日 河北新報(朝刊)16面

20160807wada2.png

 この記事の中に出てきている動画が次のものです。

【ネット選挙】岡崎トミ子 反日デモ参加 https://www.youtube.com/watch?v=tzeUWW7rVhk


 和田氏は「政宗ちゃんねる」と名付けた自身のユーチューブのチャンネルからこの動画を発信しました。

 この動画の中では

「あなたは知っていますか?」
「反日デモに参加した宮城の政治家がいることを_」
「参院選 宮城選挙区 民主党 岡崎トミ子氏(69)」
「あなたの一票を託せますか?」

という字幕を流し、韓国の元「慰安婦」による日本政府への謝罪要請を「反日デモ」と呼称し、その場にいた岡崎氏のことを「反日」政治家だとするネガティブキャンペーンを張っています。

 次回は和田氏のこの動画がなぜ「レイシズム」なのかを詳しく見ていきます。
posted by 反レイシズム情報センター(ARIC) at 11:29| Comment(0) | 政治家のレイシズム利用